OSが入っているSSDを初期化できない原因と対処法

アキラ |カテゴリ:パーティション管理| 2025年04月29日に更新

概要:

OSが入っているSSDを初期化しようとして失敗する原因と、その解決策を丁寧に解説します。Secure BootやBitLockerなどの注意点もカバー。

SSD(ソリッドステートドライブ)は、PCやノートパソコンのストレージとして広く使われています。特にOS(オペレーティングシステム)がインストールされたSSDを廃棄や再利用のために「初期化」しようとした際、「どうしても初期化できない」「フォーマットエラーが出る」「オプションがグレーアウトしている」といったトラブルに直面することがよくあります。

この記事では、こうした「OSが入っているSSDを初期化できない場合」の原因と具体的な解決策について、専門家の視点から解説します。国家機関や公的な業界団体のデータも交え、信頼できる情報提供を心がけます。

なぜOS入りSSDは初期化できないのか

もっともよくあるトラブルの一つに、「現在OSが稼働しているSSDを初期化しようとする」ケースがあります。これは技術的に不可能です。

なぜなら、WindowsやmacOSなどのOS自身が動作中に、自身の保存場所(=現在使用中のSSD)を消去することはできない仕組みだからです。これはファイルシステムとメモリ管理の原則に基づいており、プロセスの整合性が保てなくなるため、OSは安全性確保のために自己消去を禁止しているのです(引用元:Microsoft Docs『Windows boot process overview』)。

さらに、BitLockerやセキュアブートといったセキュリティ機能が有効な場合、OS以外の手段での消去すらブロックされることもあります。

🔎OS(Operating System)
コンピュータを動かすための基本ソフトウェア。Windows、macOS、Linuxなどが該当します。

SSDを初期化できない主な原因

OSが入っているSSDを初期化しようとして上手くいかないとき、実は原因は複数考えられます。ここでは、よくあるパターンを4つ取り上げて、それぞれに対して「なぜそうなるのか」「どうすれば解決できるのか」をセットで解説していきます。トラブルの原因が分かれば、対応策も自ずと見えてきます。ぜひご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてください。

原因1. OSが稼働中のドライブを初期化しようとしている

OSが今現在動いているSSDをそのまま初期化しようとすると、当然ながらエラーになります。これは「自分が住んでいる家を、そのまま取り壊そうとするようなもの」です。Windowsを起動した状態で、そのOSが動作しているドライブ(たとえばCドライブ)を「右クリック → フォーマット」のように操作しても、グレーアウトしていたり、「このドライブは使用中です」といったメッセージが表示されて止まってしまいます。

この場合は、OSを一度別の場所から起動し直す必要があります。たとえばWindowsインストール用USBメモリや、回復ドライブを使えば、対象のSSDを「使用中でない状態」にできます。そこから初期化すればOKです。

原因2. ブート中のSSDにロックがかかっている(セキュアブート)

最近のパソコンでは、「セキュアブート(Secure Boot)」という仕組みが搭載されています。これは、起動時にOSやドライバが正規のものであるかを検証して、問題があれば動かさないようにするセキュリティ対策です。

ところがこの機能、初期化の際には少々厄介です。外部のツールやUSBメモリから起動してSSDを初期化しようとしても、「セキュアブート」が有効になっていると、実行がブロックされるケースがあります。

対処法としては、BIOS(またはUEFI)設定画面に入り、「セキュアブート」を一時的に無効にすることが必要です。メーカーやモデルによって操作が異なるため、マザーボードやPCのマニュアルもあわせて確認してみてくださいね。

原因3. BitLockerなどの暗号化機能が有効

BitLocker(ビットロッカー)は、Windowsに組み込まれているドライブ暗号化機能です。見た目には普通のSSDでも、BitLockerが有効になっていると、内部ではデータが暗号化されていて、読み書きに制限がかかる仕組みになっています。とくに会社のPCや、法人向けノートパソコンでは、セキュリティ強化の一環として自動的にBitLockerがオンになっていることも。これに気づかず初期化しようとすると、エラーが出たり、思うように進められなかったりします。

この場合は、コントロールパネルや設定画面からBitLockerを「無効化(解除)」する必要があります。解除時にはパスワードや回復キーが求められることもあるので、事前に準備しておくと安心です。

なお、解除には時間がかかることもあるので、余裕のあるタイミングで作業するのがベストです。

原因4. BIOS/UEFIの設定でドライブアクセスが制限されている

意外と見落とされがちなのが、BIOS(またはUEFI)レベルでのストレージ保護設定です。メーカー製PCや法人モデルでは、「誤操作によるデータ消去を防ぐ」目的で、SSDに対して書き込みや初期化を制限する設定がされていることがあります。たとえば、BIOS内に「SATA Mode」「Storage Lock」「Secure Erase Control」などの項目があり、これらが有効化されていると、OSやツールからの操作が制限されるのです。

このケースでは、BIOS設定画面に入り、該当項目を「無効」または「Auto」に変更して再起動することで、初期化ができるようになります。ただし、設定変更にはそれなりのリスクも伴いますので、不安な方はメーカー公式のサポート情報を参照するか、カスタマーサポートに相談するのが安心です。

SSDを正しく初期化するには?安全かつ確実な手順

初期化をうまく進めるには、まず「どの環境から操作するか」がポイントになります。OSが入っているSSDはそのままでは消せないので、別の起動メディアを使う、あるいは外部ツールを利用するといった方法が現実的です。ここでは、初心者の方でも実践しやすい3つの方法をご紹介します。それぞれの特徴を踏まえて、ご自身に合ったやり方を選んでみてください。

方法1. Windowsインストールメディアから初期化

これは比較的オーソドックスな方法です。Microsoft公式の「メディア作成ツール」でUSBインストーラーを作成し、そのUSBからPCを起動すれば、インストール中にディスクの選択・削除・フォーマットなどの操作ができます。ただし、誤ってほかのドライブまで削除してしまわないよう、操作には慎重さが必要です。

方法2. パーティション管理ツールを使う

もうひとつおすすめなのが、専用のパーティション管理ソフトを使う方法です。たとえば「EaseUS Partition Master」は、初心者にも扱いやすいインターフェースで、SSDの初期化に限らず、パーティションの分割・統合・フォーマット・MBRとGPTの変換など、幅広いディスク操作に対応しています。操作は基本的にマウスで選択して実行するだけなので、コマンド操作が苦手な方でも安心です。無料でもある程度の機能が使えるのも嬉しいポイントですね。

なにより、Windowsが起動していない状態でも「ブータブルメディア」(起動用USB)を作成して作業できるため、OSが入っているSSDの初期化にも対応しやすいのが強みです。「ちょっと手順が心配…」という方は、こうしたツールを活用すると、ずっとストレスなく進められると思います。

ステップ1.ソフトを起動して、初期化したいSSD/HDDを右クリックして、「フォーマット」を選択します。

ステップ2.ここでフォーマットの詳細をチェックしてから、「OK」をクリックします。

ステップ3.対象のパーティション上のデータは消去されます。」という提示メッセージが表示されます。フォーマットプロセスを進むには「はい」をクリックします。

ステップ4.最後に、画面右下のタスクキューにあるタスクをクリックして、保留中の操作を確認します。保留中の操作が間違っていない場合は、「適用」をクリックして、フォーマットプロセスを開始します。

方法3. LinuxライブUSBでGPartedなどのツールを利用

やや上級者向けになりますが、Linuxのライブディストリビューション(Ubuntuなど)をUSBから起動し、その中に入っている「GParted」といったパーティションエディタでSSDを初期化する方法もあります。こちらは細かい設定が可能なぶん、操作ミスのリスクもあるので、ある程度PCに慣れている方向けです。ただ、無料かつ柔軟性が高いため、Linuxユーザーや技術者の間では定番の手段でもあります。

このように、目的やPCの使用経験に応じて、使いやすい方法を選ぶことが大切です。それぞれのツールには得意なこと・注意点がありますので、事前に確認してから作業に取りかかりましょう。

念のためですが、初期化の前にはデータのバックアップを忘れずに。削除してしまったデータは、場合によっては復元できなくなることもありますので、ここは慎重にいきたいところです。

まとめ

OSが入っているSSDを初期化しようとして「フォーマットできない」「操作がグレーアウトする」といった壁にぶつかった経験はありませんか? これは、現在稼働中のOSが自分自身を消せない仕組みや、セキュアブート、BitLockerなどのセキュリティ機能が影響していることが多いです。

本記事では、そうした技術的な背景から、具体的な対処法(Windowsインストーラーや専用ツールの活用、BIOS設定の見直しなど)まで網羅的にご紹介しています。EaseUS Partition Masterのようなパーティション管理ソフトを使えば、初心者でも比較的スムーズに安全な初期化が可能です。SSDの廃棄や再利用を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

よくある質問(FAQs)

1. OSが入っているSSDはなぜ初期化できないのですか?

OSが現在動作中のSSDを初期化しようとすると、自分が動いている場所を消すことになるため、システム側でブロックされます。これはファイル整合性やセキュリティを守るために設計された仕組みです。

2. BitLockerって何?有効だと初期化できないの?

BitLockerはWindowsに搭載されたディスク暗号化機能です。有効化されていると、SSDの内容が暗号化されているため、初期化の前に解除(無効化)しないとエラーになります。解除にはパスワードか回復キーが必要です。

3. 初期化するにはどの方法がおすすめですか?

初心者の方には、「EaseUS Partition Master」などのパーティション管理ソフトがおすすめです。直感的な操作でフォーマットや削除が行え、ブータブルUSBを作成すればOS入りのSSDにも対応可能です。不安な方にはとても便利な選択肢です。